仕立ての世界には、“一見して分からない上質さ”というものがあります。
それは派手な光沢や目立つ色味ではなく、密度や重量、織りの質感にこそ宿るもの。
今回ご紹介するのは、伊・Canonico(カノニコ)社のカバートクロスを用いた、まさにその代表格となる一着です。

カバートクロスとは何か?
「Covert Cloth(カバートクロス)」は、本来英国でハンティングや乗馬など屋外活動向けに開発された伝統的なウール素材。
その特徴は、以下の通りです:
- 極めて高密度に織られているため、耐久性と防風性に優れる
- ツイル(綾織り)の角度が鋭く、斜めの畝が美しく浮かび上がる
- 見た目は無地に近いながら、深みある陰影が生まれる
- 体に沿った落ち感があり、着るほどに馴染む生地
そして今回使用しているのは、Canonicoによるモダン解釈のカバートクロス。
英国由来のクラシックな素材感を、イタリアらしい軽快さと滑らかさで再構築した、絶妙なバランス感のあるファブリックです。

仕立ての視点から:構築的で頼れる一着
このスーツをお仕立てする際、私が重視したのは**「都会的で端正であること」**。
カバート特有のハリと厚みを活かしつつ、芯地の入れ方やシルエットのバランスを調整することで、堅すぎず、でも頼りがいのある構築感に仕上げました。
- ジャケットは、低めに設定したゴージラインとセミノッチラペルで、柔らかさと貫禄を両立
- フロントには角度の浅いハッキングポケットを配し、静かに動きを感じさせる意匠に
- パンツは、深い股上とツーインタック仕様で腰回りにゆとりを持たせつつ、テーパードで洗練された足元へ
- ウエストまわりはグルカ仕様+ダーツなしとし、構築的な腰のラインをよりシャープに引き立てています
ストライプシャツやタイとの相性も良く、ビジネスシーンにも式典にも通用する懐の深さが、このスーツの真価です。
いわゆる“勝負スーツ”としても、普段のスタンダードとしても成立する、まさに“頼れる一着”。

日常にこそ、本質を
Covert Clothは、華やかさではなく信頼感を纏う素材です。
たとえば、お客様との商談、特別な日、フォーマルな場面…
どの場でも主張しすぎず、確かな佇まいで自分を支えてくれる一着が欲しい。
そんな時に、このスーツがきっと力になってくれるはずです。

Canonico – Covert Cloth Suit
- オーダー対応:2ピース / 3ピース可
- 推奨シーズン:秋〜春
- 納期:約4週間(混雑時を除く)
- 生地バンチ見本:店頭にて常時ご覧いただけます

気温差のある季節、朝晩で表情が変わる都会、スーツで過ごす多様な一日。
そのすべてを、しっかりと受け止めてくれるような、そんな**「土台としてのスーツ」**をお探しなら、
ぜひ一度このカバートクロスを体感してみてください。
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